ぼうけんのお話
ペニーとバック
子どものための、おやすみ前のお金のお話
(そして、一緒に読む大人のみなさんへ)
KidCashチーム作
読む前にひとこと。少し大げさな声で、ゆっくり読んでみてください。「面白いところ、まだ?」と聞かれたら、「もう始まっているよ」とにっこり。途中で話したり、今日は一章でおしまいにしたりしても構いません。これは米国の硬貨やドル札が登場する、お話の世界です。
第1章
ペニーとバックが出会った日
ぶたの貯金箱の、暗い暗いその奥に、
ぴかぴかのペニーが、ちょこんと住んでいました。
何でもよく考えて、ていねいに。
今日もつやつや、まあるい硬貨です。
ある日、ぽとん! 1ドル札がやってきました。
くしゃくしゃ、しわしわ。でも、なんだか元気そう。
「ぼくはバック!」と、胸を張って言いました。
「ガソリンスタンド、自動販売機、お祭りだって行ったんだ!」
「おやつの袋みたいなにおいね」とペニー。
「きみは、まだ冒険のにおいがしないね」とバック。
こうして、似ていないふたりの、
小さな貯金箱の、大きな友情が始まりました。
大人と一緒に考えること
貯めたいときも、使いたいときもあります。どちらかが正しいと決めず、どうしたいかを一緒に話してみましょう。
第2章
お菓子屋さんの誘惑
お菓子屋さんを見つけたバックの目が、きらり。
「くまのグミ、ぜーんぶください!」
「すっぱいのも、長いのも、足の形のも!
持っているお金を、ぜーんぶ使っちゃおう!」
でもペニーは言いました。「全部使ったら、
明日は、どうしたいかしら?
お菓子を食べ終えて、おもちゃが欲しくなったら、
そのとき使うお金は、残っているかな?」
そこでバックは、グミを予定の半分にしました。
残りのお金は、貯金箱へ、ぽとり。
グミはおいしく食べました。残したお金も、ちゃんとあります。
「楽しむ分も、残す分もできた!」とバック。もちろん歯磨きも、忘れずに。
大人と一緒に考えること
半分使って半分残すのは、一つの分け方です。おこづかいや贈り物のお金をどう分けるか、家族に合う方法を相談しましょう。
第3章
レモネード屋さん
ある日ペニーが言いました。「仕事をして、お金を受け取ってみたいな」
「レモネード屋さんはどう?」とバック。「大人にも相談しよう!」
大人と一緒に、レモンをしぼります。ひと休みもしながら、ぎゅっ、ぎゅっ。
バックは看板を書きました。「れもねえど・25せんと」
「バック、字がちょっと違うみたい」とペニー。
「ほんとだ。一緒に直そう!」とバック。
看板を直すと、お客さんが少しずつ集まってきました。
バックの元気な声が、お店の前に響きます。
「いらっしゃい! 冷たいレモネード、いかがですか?
ラマも飲みたくなるかも!」
(ラマは来ませんでした。来たら、ちょっとびっくりです。)
お昼に店じまい。材料代を引いたら、いくら残ったかな?
大人と一緒に考えること
一緒に仕事をすると、それぞれの得意なことを生かせます。実際に販売するときは、保護者が許可や衛生の条件を確認し、準備から片付けまで付き添いましょう。受け取った売上と、費用を引いた利益は別です。
第4章
もしものときの備え
火曜日、黒い雲が、もくもく、もく。
貯金箱の世界に、ざあざあ雨が降り始めました。
仲間たちは、安全な場所へ助け合って移動します。
ところが10セント硬貨のダイムは、ちょっと困り顔。
「ぼく、お金を全部使っちゃった。跳ねるボールを十七個も買って!」
「そのボールは?」とペニー。「跳ねていったんだ」とダイム。
「窓の外へ、道の先へ、ぴょん、ぴょん、ぴょん。
一個はリンさんの畑で、休んでいるかも……」
ペニーとバックには、もしものために残したお金がありました。
みんなに必要な物を、大人と相談して用意します。
ダイムも一緒に、ほっとひと息。
「次は、ボールを買う数も考えるよ。十六個……より、もっと少なくね!」
大人と一緒に考えること
もしもの備えは、予想していなかった出費のために残すお金です。少額からでも、無理のない範囲で考えられます。お金が足りない人が悪いわけではなく、災害では大人の指示に従って安全を優先しましょう。
第5章
バックの大失敗
バックはお店の棚で、小さなロボットを見つけました。
「1ドルだ! これ、買ってみたい!」
買って、ねじを巻くと、ロボットは二歩。とこ、とこ。
ところが階段から、ごろん、がらん。壊れてしまいました。
(部品が三つ、四つ、五つ、六つ。
ロボットは、ばらばらの部品になってしまいました。)
「ああ、残念ね」とペニー。「すごく楽しみだったのに」とバック。
「買ったの、間違いだったのかな」と、しょんぼり。
「壊れるとは思わなかったもの。自分を責めなくていいよ。
次に買うなら、どこを確かめたい?
丈夫さや、遊ぶ場所、説明書も見てみよう。
直せるか、返品できるかも、大人と聞いてみようね」
大人と一緒に考えること
値段と、自分にとっての価値は同じではありません。安くても合わない物、高くても役立つ物があります。価格だけでなく、状態や使い道も確かめましょう。返品や修理ができるかは、お店や商品の条件によります。
第6章
目標のお金のびん
ふたりが欲しいスケートボードは、20ドル。
「ずっと先だねえ」とバックが、ため息。
「一日に50セントずつなら、40回だよ」とペニー。
「20ドルを0.50ドルで割ると、40になるの」
ふたりは古い容器を見つけ、「スケート」とラベルを貼りました。
硬貨を、ちゃりん。残りの額も確かめます。
毎日少しずつ、重くなるびん。ふたりは中をのぞきます。
七日目は、ちゃりん。十四日目は、にっこり。
二十八日目。「バック、あと少しだね!」
四十回目で20ドル。スケートボードだ!(バックはお祝いのトーストも食べました。)
魔法で増えたわけではありません。急いだわけでもありません。
目標を書いて、数を確かめ、少しずつ。家族にも手伝ってもらいました。
大人と一緒に考えること
目標の名前を付けたびんは、何のために残すかを思い出す手がかりになります。欲しいものを一つ選び、実際に貯まった額と残りを一緒に確認しましょう。期間や目標は途中で変えても構いません。
第7章
分かち合う気持ち
友達の5セント硬貨、ノラが、お金をなくしてしまいました。
(ガチョウと、お弁当と、ちょっとした追いかけっこがあったのです。
お弁当もガチョウも無事でしたが、
硬貨は池へ、ぽちゃん。ノラは、しょんぼり。)
「何かできるかな?」とバック。「聞いてみよう」とペニー。
ふたりはノラの話を聞き、無理なく出せる分を持ち寄りました。
「ありがとう」とノラ。顔に笑顔が戻ります。
三週間後、バックのお店が静かだった日、
ノラが手描きの看板を持ってやってきました。
「バックのレモネード・おひさまみたいなおいしさ!」
(字は少し曲がっていました。でも、とてもすてきな看板です。
お客さんが立ち止まり、三人はうれしくなりました。)
大人と一緒に考えること
誰かを助ける方法には、お金だけでなく、話を聞く、手を貸すこともあります。寄付をすれば必ずお返しが来るわけではありません。本人の気持ちと、無理なくできる範囲を大切にしましょう。
第8章
少しずつ、続けてみよう
一週目、少し貯めました。二週目、また少し。
三週目、バックはうっかり忘れそうに。
でも目標のラベルを見て、思い出しました。
「今日はこの分を残そう」と、硬貨をちゃりん。
四週目の日曜日、明るい朝がやってきました。
「四週間、振り返れたね!」と、ふたりはにっこり。
少しずつ残したお金も、
思いがけずもらったお金も、使い道を考えられます。
貯金箱のそばで、手作りのバッジが、きらり。
「コツコツ名人」と、夕日の中で光ります。
ペニーとバックは、これからの夢を胸に、
貯金箱の中で、ころんと丸くなりました。
夢に出てくるのは、目標と、お金のびん。
土曜日の星が照らす、レモネード屋さん。
二歩よりもっと歩けるロボットと、
まだ知らない、お金のふしぎ。
(最後はちょっと、欲張りな夢かもしれません。
でも、もうふたりは眠っています。そっと、おやすみを言いましょう。)
大人と一緒に考えること
少額でも、残した分は合計になります。続けられたことも、見直せたことも一緒に喜びましょう。休んだり使ったりしても、また始められます。連続記録が途切れたことで責めず、家族に合うペースを選びます。
おしまい。
……それとも、ここから始まるのかな?
家族のお金の冒険を始めよう
KidCashで、おこづかいを記録し、貯金の目標を立てて、
親子でお金の使い方を少しずつ考えましょう。
kidcashapp.com — どのペニーにも、どのバックにも、自分らしい一歩を。